「藤城清治 展覧会 2025」に行ってきた。
藤城清治さんは101歳。もと海軍の少尉だったひとで、友だちを特攻隊で亡くしている。自分もまた、特攻に行かされて死んでゆく運命だった。
でも、わずかな差で生き残った。
展覧会では、『泣いた赤鬼』の影絵も上映されていた。
ほのかに淡く、あかるい、赤の世界にいる赤鬼。
≪ぼくは長い長い旅に出ます≫
≪もう君に逢うことはできないかもしれません≫
≪でもぼくはいつまでも君を忘れません≫
≪いつまでも、どこまでも君の友だち 青鬼≫
みずからを犠牲にして、日本の平和を信じて去った青鬼の姿は、特攻隊で死んでいった藤城さんの友だちの姿だ。
青鬼からの手紙を何度も読み返して、泣いている赤鬼は、藤城さんの泣いている姿だ。
戦後、何もない中で、自身を喪失する中で、藤城さんは影絵と出会った。
“光と人間があれば、影ができる”
生きていることは影であり、光なのだ。
藤城さん、100年の人生で、このゼロ戦の作品は集大成。
実物を前にして思うのは、桜は白く、色がないのに、少し離れてみたら、うっすらとピンクに見える。
夕日の炎には、世界の国旗が描かれている。
その夕日にむかって、飛んでゆく一機のゼロ戦。
小人は、藤城清治さんの分身、魂だ。
影絵に描かれた山は、九州の南端にある開聞岳。
この山が、日本とのお別れ。あとはいちめんの海。
沖縄が見えたら、アメリカの空母へと突っ込み、自爆してゆく。
春4月。
桜の中、戦艦大和が特攻出撃したように、この風景もまた、神風特攻の隊員たちが、最後に見た日本の風景。日本の姿だ。
なんとも清浄で、悲しくもあかるい美しい死の世界。詩の世界。
会場にはひとりで訪れる女性の姿も少なからずあった。
私はこんなところに訪れる女性に逢いたいと思った。
性の世界も、清浄で、悲しくもあかるい美しい死の世界。詩の世界。
私はもうすぐ、この女性風俗セラピストの世界を去る。
それは人間、聖と性の光であり、影でもあった。
だから、最後にあなたにお会いしたい。
※
夜の悲しみは 星へと変わり
昼の光は あなたの笑顔に溶けてゆく
この世界は 不確かで 不完全で あいまいでも
ふたりで まじわれば 世界は微笑む
夜の森に 冷えた風がささやき
しわくちゃの雲が 静かな海を覆う
星は 切り裂かれた空から こぼれ落ち
月の雫は 孤独をやさしく包みこむ
昼の陽は 笑い声の粒となり
川面に反射して 人々の影を揺らす
この不確かで 不自然で 不完全な世界は
すべては あいまいな 優しさの集まり
だから あなたと私が まじわれば 永遠の優しさになる
夜の冷えた悲しみも 孤独も
月あかりの銀の雫も 涙も
すべて抱きしめて 星に還るから
あなたを抱きしめて 星に還る
これは ひとりの女風セラピストが紡ぐ詩
あなたと出会い まじわり生まれた光









お店からのコメント
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