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写メ日記

全123件中1~10件を表示

龍生の投稿

SLと少女と、宇宙の心臓

09/01 23:59 更新

スーパーノヴァとは
星が寿命を迎える時に起こす“宇宙最大の爆発”
ひとつの星が砕け散り
その光と衝撃は銀河を揺らし
全てを破壊するほどのエネルギーを
宇宙に解き放つ現象のこと

──子供の頃
近くの大きな公園には「SL広場」があった
黒い蒸気機関車と
宇宙へ繋がるようなU字型の造形物
遅い時間まで一人で遊ぶ僕を
少し年上の女の子が心配して
手を引いて家まで送ってくれた
その手の中にはいつも
光るように甘い飴玉があった

大人になって
僕は「儀式」と呼ぶ旅を始めた
嫌な想い出の場所に足を運び
それを良い記憶に書き換える
過去の傷を消せば
もっと強く前に進めると思ったからだ
だがその儀式は
心のエネルギーを激しく削るものでもあった

そんな日々の傍ら
僕は宇宙センターで働いていた
不安定な恒星を観測し
地球への影響を調査する仕事
最近、風が強い
毎日嵐のように吹き荒れるその風を
誰もが異常気象と片づけていた

──ある日
最も嫌な記憶の地に立ち
いつもの儀式を終えた後
あのSL広場へと歩いていった
その瞬間、宇宙センターから電話が鳴る
「恒星が寿命を迎え、今日にもスーパーノヴァが発生する可能性がある」
僕は呟いた
「この嵐は……恒星から放たれた粒子の嵐
宇宙風が地球に届いていたのか」
スマホがけたたましく鳴り響き
地上の電子機器は狂い始めた
地球を破壊する光が迫っていた

振り返ると──あの女の子がいた
手を取り、僕をSLへと導く
轟音とともに鉄の巨体は動き出し
煙を吐きながら夜空を駆け上がる
999のように宙を舞い
U字型の造形物へ突っ込む
視界が闇に塗りつぶされ
気付くと僕は恒星の中心に立っていた

核は黒く沈み、死にかけていた
女の子はポケットから飴玉を取り出し
次々と光の珠を核へ投げ入れる
刹那、崩れかけた心臓が脈動し
まばゆい光が爆ぜる
死にゆく星に命が吹き返った
その光景を最後に
僕の意識は闇に沈んだ

──目を開けると
SL広場の地面に大の字で横たわっていた
女の子の姿はなく
ただ夜風だけが胸を撫でていく

僕はいつの間にか
偽りの光にすがり
本当の光を見失っていたのだろう
過去の痛みは
消し去るものではなく
今を輝かせるための光に変わる

胸の奥に吹く風は
かつての嵐とは違う
それは自由の空へ連れていく風
──そして僕は歩き出す
あの日もらった飴玉の光を
未来の灯りに変えながら

6598

銀河鉄道と白い靴と、揺れる鼓動

09/01 02:50 更新

朝日が昇る
顔にあたる光の中で
ふと胸の奥の痛みに触れる

白い靴で踏み出した道
あの日の僕は
ただ勢いのままに走っていた
未来を描くよりも
その瞬間を生き抜くことで精一杯だった

──けれど今なら言える
先にある夢を描いて進むことの大切さを

長く険しい銀河鉄道の話を聞かせてほしい
その物語に心が揺れた時
悲しみさえ詩へと染み込んでいく

時代に合わせて呼吸するつもりはない
明日を求める誰かが揺れるように
僕は傷をリズムに変えて手放す

影に光が差し込む
揺れる鼓動が
眠りの中の夢を呼び覚まし
月夜に照らされた時
現実の景色に変わっていくと信じている

──だから僕は
歩き続ける
未完成の物語を
自由の風にのせて

置いてきた言葉が
夜風に混ざり
まだ見ぬ誰かの呼吸に触れていく

6598

狂王とフロッピーディスクと、自由の物語

08/31 02:11 更新

グーグルマップもない時代
知り合いから買ったおんぼろの50CCのバイクを走らせ
A君の家まで行った

二人でパソコンの前に座り
作っていたのは
「狂王」が世界を滅ぼし
勇者がそれを阻むという
よくあるストーリーのゲームだった

完成しないまま
卒業の日が来て
A君とも会わなくなり
データだけが
古いフロッピーディスクの中に眠った

──大人になって
満員電車に揺られ会社へ向かう
頭の中では
「自由になる物語」を描いていたが
それはあのゲームのように
完成する気配を見せなかった

地方への出張
古びた電車に長く揺られ
顧客に神経をすり減らし
疲れ果てた帰り道
再びその電車に乗り込む

まどろみの果て
目を覚ますと
電車は駅に停まり
乗客の姿は消えていた

外に出た瞬間
轟音と共に街が光で裂けた
空に浮かぶ「狂王」
その口から放たれる光線が
建物を砕き、人々を焼き尽くす
地獄の風景の中
僕は山道へと必死に走った

光線が背後を掠め
爆風が身体を吹き飛ばす
転がるように進む途中
道端にバイクがあった
「僕の50CCだ…」
息を呑み、跨り
光を避けながら山を駆け上がる

辿り着いたのは
山の頂のA君の家
玄関は開いていて
中にはあのパソコンがあった
フロッピーディスクを抜き取った瞬間
狂王は悲鳴と共に崩れ落ち
夜の闇に消えた

気を失い
気づけば再び電車の中
「夢か…」
そう呟いたが
ポケットの中には
あのフロッピーディスクが入っていた

──翌日から僕は
頭の中に止まっていた数式を
現実のディスクに上書きしていった
未完成の物語を完成させるために

マップのない暗闇の道を
おんぼろのバイクで走らせながら
自由のストーリーを描いていく

いつかこの物語が
誰かの胸で点灯する時
「狂王」によって封じられた
過去の世界は塗り替えられ
新しい地図が
確かに描かれていくのだろう

6598

影と光と、水筒の妖怪

08/30 00:32 更新

暑い夏の日
教室の片隅で一人でいると
A君が声をかけてきた
同じような環境で育った彼とは
なぜか気が合った

「バイト、一緒にやらないか」
新しい経験にワクワクして
僕は頷いた

倉庫での作業の合間
妖怪や不思議なことが好きなA君は
梱包の手を止めて、ふいに言った
「妖怪と出会ったら、どう闘う?」
僕は答えられずに黙る
A君は続けた
「妖怪は光みたいなものだから
まともに闘えない
封印するか、共存するしかない
水筒の中は鏡だろ
光を反射して閉じ込めるのにちょうどいい」
その発想に僕は感心した

──バイトの帰り道
目の前を一つの光の球が飛んでいった
その先には
僕と同じような環境で育った子供が立っていた
僕は声をかけることなく
ただ通り過ぎた

やがてA君とは道が分かれた

大人になり
「妖怪スポット」の噂を耳にした
そこに潜む妖怪を生け捕りにすれば
多額の報酬が得られるという
がむしゃらに稼ぎたかった僕は
迷わずその場所へ向かうことを決めた

久しぶりにA君に会った
居酒屋の席で妖怪の話をすると
彼は驚き、必死に止めた
「やめた方がいい」
それでも僕が行くと言うと
水筒を渡された
「お守りだ、持っていけ」

──夜
廃校の校舎に足を踏み入れる
特級の呪物を封じる札を手に
廊下を進むと、背後に寒気が走った

振り向けば
顔が前後に二つ
腕が四本、足が四本の鬼が立っていた
鋭い爪が空を裂き
僕は紙一重でかわす
札を鬼の額に貼りつける
「これで終わりだ」──そう思った

だが鬼は心に語りかけ
押し込めていたトラウマが
光となって溢れ出す
僕の姿が
ゆっくりと妖怪へと変貌していく
必死に抗うも、取り込まれてしまう
「もうダメか」

その時
A君から渡された水筒を思い出す
フタを開けると
溢れ出したトラウマが
光の奔流となって吸い込まれていく
鬼は消え去り
僕は気を失ったまま
朝まで水筒を抱えていた

翌朝
封印のため寺へ向かう途中
目の前を一つの光の球が
静かに飛んでいった

僕は立ち止まり
水筒を封じるのをやめた
トラウマは消すべき呪いじゃない
一緒に連れて歩く影だ
その影があるからこそ
光の眩しさを
誰よりも強く感じられる

──だから僕は
光の球と影を胸に抱き
今日も歩き出す
過去の痛みさえ
誰かの未来を照らす
新しい灯になると信じて

6598

砂丘と光と、竜の骨

08/29 02:53 更新

螺旋を登り、昼間にたどり着いた山のふもと
砂丘の上にひっそりと建つ小屋の前で
僕は立ち止まった

希望で上昇するはずの気流は
継ぎはぎの記憶の中で
舞い上がる砂と共に下降していく

手にしていた数式の紙束は
軽やかなのに、なぜかずしりと重かった

──夜
空を見上げると、いつもなら気付かない光があった
広大なりゅうこつ座の中で
ひときわ強く輝くイータ・カリーナ

その姿は
自由に宇宙を航海する船のようで
僕を誘うように瞬いていた

気付けば僕はその船に飛び乗り
言葉は光となり、色をまとい
やがて音楽に変わっていく

その響きは、超新星爆発のように
破壊と創造の音を奏で
今までの「当たり前」という惑星を次々と壊していく

砂に戻った星を拾い上げると
それは再び形を変え
砂丘の小屋の頭上で輝いた

──過去の想い出も
星が爆ぜ、光を生む瞬間に
新しい始まりへと書き換えられる

だから僕は
星の音を胸に抱いて
これからの空へと歩き出す
たとえ砂が崩れても
その先には、必ず新しい自由の景色が広がっている

6598

深海魚と扉と、ナンバー11

08/28 00:45 更新

学校の美術の時間
僕は粘土で深海魚を作った
お腹には小さな扉を刻んだ
「11」という数字を入れた
1と1が並ぶ姿が門のように見えたからだ

形はいびつだったけれど
自分では満足していた
だが金賞を取ったのは
細部まで作り込まれた
A君の恐竜の模型だった

僕の深海魚は
他人の評価の海を泳ぐことなく
机の中で固い粘土に戻っていった

──時が過ぎて
僕は会社員になった
昇進を決める面接のため
上司が喜びそうな言葉を並べ
評価シートに形式通りの答えを書く
心を押し殺し
ご機嫌を取るだけの報告会

だがもう一つの顔を持っていた
趣味で潜り込むのは
表現の海を泳ぐ地下のコンテスト
1対1で向き合い
ジャッジの手で勝敗が決まる世界だった

練習は重ねた
勝てるはずと挑んだ
泳ぎは悪くなかったはずなのに
ジャッジの判断は僕の負け
ここでもまた
他人の評価の海に沈められた

「この世界の答えってどこにあるんだよ」
僕は進む方向に迷子になっていた

帰り道、夜空を見上げる
雲の隙間に魚の影が泳いでいた
よく見ると──
あのとき作った粘土の深海魚だった

へたくそな形のまま
でも自由に泳いでいた
「これが答えなんじゃないか」
僕は思わず呟いた

──数日後
再び表現の海に挑戦する
全国から猛者が集まる中
僕の番が来た

今度は相手に合わせるのではなく
自分の内に深く潜り
問いかけをそのまま表現に変えた
あの深海魚のように
暗い海を自由に泳ぐように

空間は僕の意識に染まり
観客の心が揺れていくのを感じた
気付けば会場は沸き立ち
僕の存在を見つめていた

僕は初めて
他人の評価の海ではなく
自分の自由の海を泳いでいた

──後日
僕は会社を離れた
深海へ潜り、表現を通して共鳴を起こすとき
ナンバー「11」の扉は開かれた

他人の評価という鎖は断ち切られ
不器用な形のままでも
自由の海へ飛び出していける

夜空を見上げれば
あの深海魚が泳いでいる
いびつでも確かな光を宿し
未来への道を示していた

6598

嵐と紙片と、未来の約束

08/27 01:25 更新

学校までの道を走る
これで何度目の遅刻だろう
遅刻している日のほうが
圧倒的に多かった

走りながら、幸せそうな家族を見かける
子供心に羨ましくて
石に躓いたみたいに
走るスピードは落ちていった

学校に着くと
床に座らされ
ノートに漢字を埋め尽くす罰
授業よりも、地面と話す時間が長かった
いつもひとりのまま
心の中に嵐が吹いた

──自分の存在ってなんだろう
嵐に飲み込まれる前に
僕は紙に魔法の呪文を書き
ポケットに入れた
それがあれば嵐を乗り越えられた
時が経ち、大人になる頃には
魔法の呪文のことも忘れていた

──そして今
僕は決断を迫られていた
仲間を置いてでも自分の道を進むか
揺れていた
進むべき道は見えていたのに
世間の当たり前に
足を止められていた

もう一つの顔
僕は危険なビジネスの傍ら
数年前に突如、世界各地に現れた
「ゲート」と呼ばれるダンジョンの前に立っていた

ゲートの中には魔物が潜み
人類は「ハンター」と呼ばれる
特別な力に覚醒した者たちを送り込み
魔物を倒し、ダンジョンを攻略してきた

ランクはE級からS級まで
強さはそのまま地位や富に直結する
だが僕は最弱のE級ハンターに過ぎなかった

その日、仲間とパーティーを組み
ゲートに入った
下級のゴブリンを倒し進む
その時──
ダンジョン全体を揺らす
強烈な波動が響いた

現れたのは
最下層に潜むはずの
最強のグレーターデーモンが二体
口から放たれる炎で
仲間たちは次々と焼かれ
一瞬で僕ひとりになった

炎が僕を呑み込もうとした瞬間
僕は勢いで転倒し、床に這いつくばった
その姿はまるで、かつて罰で座らされ
地面と話し続けていたあの日の自分のようだった

その瞬間、炎はどこからともなく現れた剣で真っ二つに裂かれ
同時に一体のグレーターデーモンの身体も斬り裂かれた

そこに立っていたのは
とてつもないオーラを放つ戦士
「今日は遅刻しなかったようだな」
「地面と話す時間は終わりだ」
その声を聞いて
僕は呟いた
「僕だ……」

ハッとしてポケットを探ると
紙が残っていた
あの日の魔法の呪文
「今の自分を助けられるくらい強くなる
 だからこの嵐を乗り越えさせて」
そこには確かにそう書かれていた

「約束通り、自分を助けに来たぜ」
戦士はそう言った

だが次の瞬間
もう一体のグレーターデーモンが
戦士を襲い
彼は吹き飛ばされた
動けなくなった戦士は
剣を僕に投げ渡す

「お前が倒せ!」

剣を握った瞬間
全身に今までにない力が溢れる
僕は雄叫びと共に跳び
グレーターデーモンの眉間へ
剣を突き立てた
刹那、炎の巨体は燃え尽き
灰となって崩れ落ちた

「自分の道は自分のために進め
 答えは自分の中にしかない」
戦士の声が響いたかと思うと
その姿は消えていた

──翌日
僕は決意した
仲間や世間の当たり前ではなく
自分の道を歩くことを
もっと強くなり
過去の自分を助けられるように

答えは外にはない
自分の中を真っすぐ見つめれば
例えそれが世間では正しくなくても
最高の人生を進めることができる

ポケットの中の古びた紙が
静かに揺れていた
その約束を確かめるように

6598

銀色と夜と、虹の雨

08/25 21:21 更新

自分を忘れたくなくて
作った銀色の首飾り
歩くたびに揺れて
胸を静かに叩く

霞んだ朝もやは
ちぎれた記憶を映し出し
8ミリフィルムのように
淡く色をつけていく

映画館で観た映画よりも
現実はずっとハードで
長い夜を描き続ける
空を見上げたら泣き出しそうになる

それでも首飾りが揺れるたび
静かに背を押すように
この夜を使い果たし
心を揺らして歩いていく

周囲に合わせて
息を潜めて生きることに
意味なんてない
きっと普通の社会に居たら
ただの“使えない人”

けれど首飾りの鼓動と
心を叩く音楽が
僕を連れ出す
自由の風を纏い
道の端を歩いていく

銀色がリズムを刻むたび
心は揺れ
その揺れが波紋となり
遠い誰かの胸を震わせる
虹のかかる雨はきっと降り
濡れた道を照らしながら
未来へ続いていく

6598

火山灰と雪と、可能性の蓋

08/24 21:08 更新

──子供の頃
僕の住む町では珍しく
昼間の空から火山灰が降ってきた

暑い日差しの下に舞い落ちる灰は
まるで雪のようで
どこか美しかった

その中に一つだけ
キラキラと光る灰があった
手に取ると温かく輝き
すぐに消えてしまった

あの頃はどんな出来事も新鮮で
僕は自分がなんでもできると信じていた
だが大人になるにつれて
火山灰が積もるように
僕は可能性に蓋をしていった

──大人になった僕は
公園の中にそびえる立派な建物で働いていた
数日後に控えた大型イベントのため
周囲は豪華な電気装飾で飾られた

だがそれは
偉い人たちの無理な命令で組まれた
かなり無理をして設営された装飾で
電気容量を最大まで使っていた
ちょっとしたことで不具合が起きるのは
目に見えていた
最悪の設営だった

朝礼では
マネージャーたちの無意味な演説が延々と続く
「従うことが正義」
そう思い込むほどに
僕の感覚は麻痺していった

──そしてイベント前日
大雪が降った
装飾の半分が点灯しなくなる
他の作業員はみんな別案件で出払っていて
現場に残されたのは僕ひとりだった
凍える雪の中
素手で配線を探り続ける

「早く直せ、終わるまで帰ってくるな」
トランシーバーから怒号が飛ぶ
体の感覚は薄れ
手は氷のように固まり
やがて高所から足を滑らせた

激しい衝撃
足を負傷し
トランシーバーも壊れる
連絡は途絶え
雪の中で息が荒くなる
意識が暗闇に沈んでいく

──その時
空から一片の光る雪が落ちてきた
子供の頃に手にした
光る火山灰のように

それを手に取ると
あの日の記憶が蘇る
「なんでもできる」
そう信じていた自分が
胸の奥で再び目を覚ました

次の瞬間
壊れていたトランシーバーが復活し
仲間の声が聞こえてきた
僕は助けを呼び
救助された

翌日
修理できなかった装飾の責任は
偉い人と責任者へと降りかかり
僕は静かにその場所を去った

──今でも
子供の頃に見た火山灰の出来事をネットで調べても
どこにも記録はない
だが僕の中では確かに残っている

あの光のおかげで
僕はいつでも
積もった火山灰を払い
雪の冷たさを超えて
「可能性の蓋を取る」ことができる

限界の中で思い出すのは
あの時、手のひらに触れた
小さな光
それがある限り
僕はこれからも
まだ見ぬ未来を
自由に描いていける

6598

仮面と銃と、夕焼けの空

08/23 01:11 更新

──小さい頃、公園に屋台がやってきた
仮面の型枠にねんどを流し込む
うまく固めればポイントがもらえて
豪華賞品と交換できるという
謎の遊びだった
子供たちは群がり
僕もまた時間を忘れて仮面を作った
その横で、夕焼けの空はやけに綺麗だった

──大人になり
会議室に並ぶ顔もまた仮面だった
不自然な笑みを貼り付けた
マネージャーの彼は言った
「入札に勝てば君も昇進だ」
だがわかっていた
昇進するのは彼であり
僕はただの兵隊であると
揉めたくないから
「なんとかします」と言い残し
仮面の群れから抜け出した

社会に出て気づいたこと
仮面を被ったやつらは
利益のためなら平気で人を踏み台にする
だが僕は
その仮面の奥を見抜く眼を持っていた

──もうひとつの顔
潜入捜査のハンターとしての僕
依頼屋から持ちかけられたのは
麻薬密売の阻止依頼
「君ならやれるだろう」と差し出されたのは
狙った獲物を決して外さない銃
“ジャッジメント・ガン”
照射レベルを自在に操れ
数秒のバリアすら展開する
だがその時すでに
依頼屋の笑顔の奥に
あの仮面の違和感を感じていた

港の倉庫
闇の中に浮かぶアタッシュケース
麻薬の束を確認した僕は
銃を最低照射レベルに切り替え
閃光の連射を浴びせる
密売人たちは次々に気絶し倒れた
トランシーバーで合図を送ると
特殊部隊が一斉に突入し
場を制圧していく──そのはずだった

依頼屋が背後に現れる
やはり、あの仮面の笑み
僕の寒気は正しかった
咄嗟にバリアを張ると
彼はジャッジメント・ガンを最大照射にし
無差別に連射した
倉庫にいた全員が崩れ落ち
立っているのは僕ひとり

「気付いていたか」
「お前のその銃は、私を撃てないよう顔認証で設定してある」
冷たい声が響く
僕は小さく笑い返す
「だろうな…」

その瞬間
上着の奥から隠し持っていた小型の銃を抜き放ち
弾丸を撃ち込んだ
仮面の笑みは砕け落ち
静寂の中で僕は呟いた
「仮面は欺くためにあるんじゃない
 遊ぶためにあるんだ」

──翌日
入札額を下げた資料を提出し
ほどなく会社を去った
噂では、無理な数字で通した案件は破綻し
マネージャーは降格したという

子供の頃、仮面を作りながら見た夕焼け
その色は今も変わらない
仮面の群れに飲まれず
自分の道を刻み続ければ
あの夕焼けはいつだって
綺麗に映るはずだ

そしてその先に広がる自由の空へ
僕は今日も
時間を忘れて歩いていく

6598

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