好奇心と探求心は血をもってしても止める事は出来ない。
信念は受け継がれ、蓄積されていく知識。
地動説を信じた者達の命を懸けたリレー。
地、知、血。
「チ。―地球の運動について―」という作品は知的で哲学的で暴力的で、人を選びそうな作品である。
地動説を信じる者と宗教による弾圧を描く物語は人によっては難解そうだと敬遠するだろう。
だがスリリングな物語と魅力的なキャラクターによって、多くの人が楽しめるエンタメ作品に仕上がっている。
ぜひ観て頂きたい傑作だ。
だが残酷な描写が多い点には気を付けて頂きたい。
天動説を正しいとする信仰は、地動説を異端とする。
地動説を信じる者はそれに抗うが、自らの仮説を妄信した時それはまた「信仰を否定する」という新しい信仰の誕生なのである。
信じること。
疑うこと。
信じることを疑うこと。
疑うことを信じること。
「?」と感じることへの肯定こそ、この作品の本質であると感じた。
答えが無いのが答え、なのである。
不正解は無意味を意味しない。
現代では天動説は間違いであったとされるが、天動説が無意味だったわけではない。
僕がこの作品に魅力を感じるのは当然のことなのかもしれない。
この作品は、当たり前のことに対して「なぜ?」「どうして?」と疑問に思う事の重要さを説いている。
つまり「捻くれ者」の肯定だ。
それは僕にとって救済なのである。
自身の性格を「優しいと言われます」とか「穏やか」って書きがちだけど、それは本当に有効なアピールなのか?
言うほど会った時に似てる芸能人を教えて欲しいか?
女風初心者にオススメということは初心者以外にはオススメじゃないのか?
マニュアルがあるわけでもないし、キャスト同士の交流も無いのに、知らない者同士が似たようなプロフに収束するのは興味深い。
僕は、この現象に対して「?」を持つことができる人でありたい。
不特定多数の意見の集合によって形成された最大公約数的な「当たり前」に疑問を抱く事こそ、僕の考える「捻くれ者」なのである。
「捻くれ者を気取ってるからもっと尖った人だと思ってたけど、会ってみたら意外と普通だよね」とはよく言われる。
僕にとって「捻くれ者」とは決して「多数派の意見を否定する人」ではないので、別に尖ってはいない。
「疑問を持ち続けること」こそ捻くれ道の真髄であり、否定や反発が目的ではないのだ。
そして自分の意見に対しても「?」と思っているから、自らの主張を押し通そうとも思わない。
でもディベートを申し込まれたら受けて立つよ!
けっこう強いと思う。
頭良いと思われたくて読書してみたけどダメかもしれん。

