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写メ日記

全134件中51~60件を表示

龍生の投稿

濁流と炎と、虹の刃

09/12 00:55 更新

子供の頃
激しい雨が町を呑み込み
近くの川は氾濫し
濁った水が家の中に押し寄せた

一階にあったものはすべて沈み
足元に漂う泥は
幸せの形を押し流していく生き物のようで
しばらく家の中に残り
消えない影を刻んでいった

──時は流れ
僕は高層ビルの建設現場に立っていた
天井から水を放つ消火設備の配管を設置しながら
思うのは
この建物はCEOの経営判断によって
通常では考えられない工期と金額で建設され
その地下では
疲れ果てた作業員たちが生気を失い
黙々と働き続けているという現実だった

犠牲の上に積み上げられた
近代的で綺麗な建物
その姿に
「これが世界の常識なのか」と僕は呟いた

やがて僕は
もう一つの仕事を始めようとしていた
数年前から突如現れた魔導士を狩る
魔導士ハンターとしての道だ

魔導士は火・水・風・雷など
自らの属性を持ち
人の依頼を受けて破壊を繰り返す
人の心の闇が形を変えたような存在だった

ハンターもまた
それぞれに属性を宿している
僕は水属性
空気中の水蒸気を氷の刃に変え
水を沸騰させ蒸気を解き放つ
周囲に水が多いほど力を増す
そんな力を持っていた

そして僕に
初めての出動の知らせが届いた
あの建物に火属性の魔導士が現れたという

ビルの最上階に向かう途中
破壊の炎で焼け落ちた壁
響き渡る人々の悲鳴
魔導士の狙いはCEOだった

最上階手前の部屋
炎に包まれた空間で
僕と仲間は魔導士に挑む
だが相手の炎はあまりに強大で
仲間は次々と焼かれていく

巨大な炎が僕を呑み込む
咄嗟にバリアを張り
辛うじて防いだが
全身に激痛が走った
「あと一度が限界だ」
僕は呟いた

氷の刃を放つ
だが炎は容易くそれを溶かし
空気の水蒸気では力が足りない

僕の力を生かすには
大量の水が必要だった
子供の頃に押し寄せた濁流の記憶が
胸をかすめる
あの圧倒的な水量さえあれば
炎に立ち向かえる

僕は天井を見上げた
そこには消火設備の配管が走っている
「これを破壊するしかない」
そう心で呟き
魔導士を挑発した

「お前の最大の炎で来い!」
僕の叫びに応じて
魔導士は全身を赤黒く燃え上がらせ
天を裂くような咆哮とともに
灼熱の炎を放った

炎の奔流は壁を溶かし
床を焦がし
空気さえも赤く染め上げ
一瞬で部屋全体が灼熱の地獄に変わった

最後のバリアが悲鳴をあげる
肌を焼く熱気が突き刺さり
呼吸するだけで喉が焦げ付く
その高温にさらされた天井の配管が
次第に歪み
ついに耐えきれず溶け落ちた

滝のように降り注ぐ水
その瞬間
僕は全身の力を振り絞り
落ちてくる水をすべて氷の刃に変える
豪雨のような刃は
無数の閃光となり
魔導士の身体を貫いた

炎は消え
静寂が訪れる
魔導士は崩れ落ち
二度と立ち上がることはなかった

──その残滓から
地下で働く作業員たちの怨嗟が聞こえた
彼らの絶望が魔導士を呼び
CEOの命を狙わせたのだと知った

子供の頃
家を満たした濁った水は
僕の中で浄化され
氷となり刃となり
やがて共鳴の雨となった

その雨は
曇った空に虹をかけ
失われたものの上に
新しい光を落としていく

そして僕は知った
辛い思い出は
ただ壊すためのものではなく
未来を変えるための力へと
形を変えていくのだと

6598

雫とパズルと、レンガ道

09/11 03:46 更新

雨上がりのカフェの窓
雫が垂れて流れる
虹の音が
胸の奥へと届いた

耳の中に流れる音楽の
ボリュームを左へしぼる
届いたのは
霧雨のように降りそそぐ言葉
悲しさと希望をまじえ
静かに胸を叩いていく

片手のパズルのピースは
レンガの遊歩道に響く足音と重なり
二重に霞むアルファベットのAを
滲ませて通り過ぎる

ネオンが埋めた隙間を歩き
街の片隅で星がきらめく
パズルの最後のピースがはまり
扉が開いて
透明な雨は七色に光り輝いた

散らばっていた欠片は
ひとつの絵を描き出し
虹の向こうから
新しい旋律が胸に流れ込む
それはまだ見ぬ明日へ
静かに続いていく

6598

逆立ちと蒸気と、青い空

09/10 00:43 更新

学校の体育の時間
逆立ち歩きのテストがあった

僕は二歩で倒れ
「全然ダメだな」と言われ
笑い声が耳に突き刺さった

本当は上手くやりたかった
けれどその声に
心は押し潰された

──時が流れ
都内の巨大な建物で
僕は機械のメンテナンスをしていた

作業員十人ほどで集まる朝礼
厳しいリーダーの声が響く
「長いだけで意味の無い朝礼」
そう心で呟く

終わると同僚のAが近寄ってきた
「相変わらず冴えない奴だな」
Aは嫌な奴で 悪い噂が絶えなかった
けれど 偉い人の息子というだけで
誰も逆らえない存在だった

僕は愛想笑いを浮かべ
作業場へと歩いて行った

狭い配管の通路を
身体をすり抜けるように進んでいく
蒸気の匂いが充満し
鉄の響きが耳を打つ

その先にある蒸気配管の部屋
30メートル先に並ぶバルブは
少しでも操作のスピードを誤れば
圧力が一気に配管にかかり
鉄を裂き 蒸気が噴き出す
大事故に直結する危険な場所だった

実はその危険な部屋で
僕は子供のころ出来なかった逆立ちを
こっそり練習していた

何かに逆らうように
ただ上手くやってみたいと思った
それがきっかけだった

扉からバルブまで
逆立ちで歩けるようになった時
胸の奥にかすかな誇りが灯った

──ある日
また蒸気バルブの操作をするため
その部屋へと向かった

扉を入った瞬間
人の気配がした
気付かれないよう身を潜めて移動する

そこにはAが居た
手元には拳銃がずらりと並んでいた

思わず工具を落とした
乾いた音が床に響く

「誰だ!」
Aが叫び 銃を構える
「見たら生かしておく訳にはいかない」

次の瞬間
弾丸が両足を撃ち抜いた
激痛に悲鳴を上げ
膝から崩れ落ちる

歩けなくなった僕を見下ろし
Aは冷たく言った
「ここで待ってろ。お前の処分を決めてくる」
そう吐き捨てて部屋を出て行った

血が広がり
蒸気の音だけが響く

このままでは殺される
逃げるには…バルブしかない
両足を奪われた僕が
そこに辿り着く方法は
逆立ちしかなかった

30メートル先
遠すぎる距離を
腕に全ての力を込め
血を滴らせながら進んだ

バルブに手が届いた瞬間
扉が開き
Aが仲間を連れて戻ってきた

「どこだ!」
「ここだ!」

Aが走り寄る
僕は力の限り バルブを回した

蒸気が唸りを上げ
圧力が配管にかかり
鉄が悲鳴をあげる

轟音と共に配管が裂け
白熱の蒸気が牙を剥いた

奔流はA達を襲い
その勢いで柵の向こうへ吹き飛ばした

──後にA達は 拳銃の密売の容疑で逮捕され
僕は会社を去った

最後に僕を救ったのは
他人に押し付けられたものではなく
努力して得た「自分の好きなこと」だった

世界を逆立ちして見れば
空は いつでも青い

その青さは
笑い声にかき消されることなく
僕の選んだ道を
果てしなく広げていった

6598

鋼とユメの扉

09/08 21:42 更新

僕はあの時
禁忌を犯して
錬金術で偽物の自由を手にしようとした

錬金術は等価交換
「何かを得るには同等の代価が必要」
その代償として 心を失い
鋼のように硬く閉ざされた心は
欲望の影を呼び寄せ
ホムンクルス――人造人間、つまり人間の欲望そのものの象徴を
僕の前に出現させた

失った心を取り戻すためには
「扉の向こうの真理」に会わなければならなかった

──ある日
僕が描いた扉の中から
光と共にユメが具現化した

彼女は美しく
強く 優しい想いを秘めていた
失ったものを取り戻すために
自ら代価を払い 「扉の向こう」から訪れた

失ったものを抱えた二人が出会い
欲望ではなく 絆を選ぶ決意が
静かに しかし確かに芽生えていった

そして ユメと僕は 真理と対峙した
強烈な風が吹き荒れ
全てを試すかのように
光と闇が交錯する中で
僕らは揺らぐことなく立ち向かった

大切なものを取り戻すために
唯一の力――錬金術そのものを
代価として差し出した

錬金術の力は失った
けれど その喪失こそが
「本当の幸せ」を得るために必要な選択だった

命や絆は 等価交換では測れない
不完全だからこそ 人は尊く
夢と現実のあわいを漂いながら
ユメの物語は 光の差す方へと
静かに 続いていく

6598

時計と影法師と、メリーゴーランド

09/07 03:11 更新

雨ざらしの君と僕
風の上を転び進む音色

無くしたものが多いと気づき
ただ星を見上げていた

時計の針は右に回り続け
メリーゴーランドは淡く揺れ
星明かりの下で
ゆらゆらと影法師が踊る

風は渦を巻き 夜を泳ぎ
君を雲の上へ連れ去っていく

巴里のカフェで
月がひとつトーンを落とし
時計の背中に響く針の音

僕らはただ音に黙り
心を傾け
白い雲のように浮かんでいた

何色にも染まらない君
時計はまた動き出し
残りの命を輝かせる

光の中で踊り
淡い氷の底のブラックに酔い
コースターに溜まった
雫が時間を零していく

空の色は深みを増し
メリーゴーランドは円を描き
宇宙に僕らの影を映していく

その影はゆっくりと
夜の果てまで広がり
まだ見ぬ朝を待ちながら
静かな旋律となって
心の奥で響いていた

6598

虚しさと風穴と、ワンパンチ

09/05 23:39 更新

子供の頃
学校で前の席から回ってくる行事のお知らせの紙
僕のところで無くなってしまうことが多かった
後ろの子に渡すために 自分の分を差し出す
「喜んでくれてるからいいか」
そんな風に 自分を削って笑顔を渡す子供だった

大人になっても それは変わらなかった
会社で僕の仕事は山のように積み上がり
サポート要員として派遣社員が配置されたが
仕事内容を説明すると

「いや無理ですね…」

そう言って肩をすくめる
結局 僕はいい人になって
大変な部分をすべて自分で背負うことになった

夜になれば 気晴らしにバーへ行き
そこに居る人たちにお酒を奢る
みんなが喜んでくれるのが嬉しくて
でも帰り道には 虚しさの風が吹いていた

僕にはもう一つの顔があった
街に現れるモンスターを倒すヒーローの仕事だ
ランクはS級からC級まで分かれていて
僕は最低ランクのC級5位
けれど実力はS級以上
どんな敵もワンパンチで倒せる力を秘めていた
それでも昇格や名声には興味はなく
自分の力だけで何かを掴み取りたかった
そうすれば 心に吹く風も変わると信じていた

僕は他のヒーローと違ってマイペースで個性的だった
そのせいで誤解され 一般市民からは嫌われていた
でも わかる奴だけわかればいいと気にしなかった

ある大雨の日
街に突如 S級以上のモンスターが現れた
ビルは崩れ 車は炎に包まれ
「逃げろ!」「助けてくれ!」
市民の叫びが雨音をかき消す
悲鳴と火の手が入り乱れる中
モンスターは破壊の限りを尽くしていた

現場に着くと S級ヒーローが奮戦していた
市民は声を張り上げて応援する
「S級ヒーロー頑張れ!」
しかし力の差は歴然
S級の一撃は軽く受け流され
反撃を受けたヒーローは吹き飛ばされて動かなくなった

次に狙われたのは僕だった
巨大な影が突進してくる
僕は間一髪でかわし
渾身のワンパンチを放つ
轟音が響き モンスターの腹に風穴が開き
巨体は粉々に砕け散った
衝撃は空にまで広がり
大雨は止み 太陽が顔を覗かせる

僕は倒れたヒーローを担ぎ
「ほんじゃ 帰るか」

その瞬間 市民の大歓声が響いた
初めての経験だった

ただ 自分の力を出しただけなのに
僕は感謝をされていた
胸に吹く風が変わった気がした

与えて得る見せかけの感謝ではなく
自分の力だけで得た本物の感謝こそが
心を満たすのだと その時やっと知った

思いを込めたワンパンチの威力は
心に棲むモンスターの向こう側まで打ち抜き
大雨を吹き飛ばし
空に太陽を輝かせる

その光の下で受け取った感謝は
これまでの虚しさを溶かし
新しい風を 僕の心に運んでいた

6598

月と摩天楼と、硝子の森

09/04 21:52 更新

暑い中 ソファから起きて
散らかる部屋に 久々にかける掃除機
窓を打つ雨の雫は
記憶の中に流れ込む歌のよう

身体の奥で響く音は
あの日の向こう側で鳴り続け
雨に打たれても気にしない
その衝動だけが残っていた

やがて雨は止み 風が吹く
蜃気楼に揺れる風の香りは
薔薇のように彩を魅せる
心を満たすのは 感じ方次第

自由へ抜け出す道は
探せばきっとある
例えばあの霧の深い森の中に
空の向こう側を渡る気球

雲の隙間から気球を照らす月の光
いくつもの夜を飛び越えながら
諦めない夢を照らし続け
その光を追いかけて 胸の奥で瞬く

星の見える夜には
硝子のように繊細なメロディが流れ
透明な摩天楼を舞うように
時間は音に連れ出されていく

雨は記憶を滲ませ
風は薔薇の香りを揺らし
月光は気球を導き
星々は夜を飾る

そのすべてを抱きながら
僕は そんな物語を描いていく

6598

慎重と異世界と、守るもの

09/03 19:51 更新

最近 不思議な夢を見る
大事なものを抱えて ただ勢いだけで走っている
気を許した瞬間 目の前が真っ暗になり
大事なものは音もなく消え
僕は奈落の底へと落ちていく
慎重に進んでいれば
その後悔の念を抱きながら いつも目を覚ます

目覚めれば現実
今日も会社で残業だ
大型の入札プロジェクト 入念に資料を整える
「そんなに細かく作ってどうする」
人の成果を利用することしか考えない同僚の声
僕は好きなこと以外に興味を持てない
でも 好きなことならば徹底的に慎重に
命を懸けるように準備をする

帰路 僕は秘密の路地裏へと足を向ける
誰も知らないもう一つの顔
僕は会社員でありながら 妖精ジョイの依頼で
異世界の魔王を討伐する仕事もしていた

そこに いつものようにジョイが立っていた
「今回の仕事は危険よ 狡猾な魔王の討伐
でも あなたの“慎重さ”が役に立つかもしれない」

依頼人は母と少女
「家族を助けて」と静かに願い
少女はチョコレートを差し出した
その落ち着いた瞳に違和感を覚えながらも
僕とジョイはそれを口にした

戦の準備
プラチナソードを三本 盾を九枚
素早さの実を百個
「相変わらず呆れるほど慎重ね」
ジョイは微笑むが 僕は笑わない

魔王の城
巨体が玉座から立ち上がり
黒い魔力が天を震わせる
剣と魔法が交錯し
轟音と閃光の中で激闘は続く
そして――
魔王の隙を突き
プラチナソードが奴の身体を真っ二つに切り裂いた
巨体が地に崩れ落ち 城内に重い沈黙が訪れる

勝利を確信した刹那
全身を痺れが襲った
「チョコレートには痺れ薬を仕込んでおいたのだ
少女は俺が操っていたのさ
情に流されたな 慎重な勇者よ」
断たれた魔王の身体は
黒い魔力に包まれながらゆっくりと元の形を取り戻していく

動けない僕
その瞬間 僕は小さく呟いた
「知っていたよ」
懐から素早さの実を一気に百個
口に放り込み 噛み砕き 飲み干す
全身を駆け巡る力
スピードが百倍になった瞬間
痺れからの回復も百倍の速さで進んでいく
麻痺した身体が一気に蘇り
稲妻のような速さで駆け抜け
プラチナソードが魔王を木端微塵にした

「ここまで…慎重なやつだったとは」
魔王の断末魔が響く中
僕は静かに剣を収めた

「慎重?違う
僕の慎重は
大切なものを守るための慎重なんだ」

勢いだけで突っ走り
気づけば失っていた数えきれないもの
世間の常識に逆らっても構わない
もう二度と 大切なものを見失わない

慎重さは臆病ではなく
過去の痛みから生まれた強さ
その強さを胸に
僕はこれからも歩みを進めていく

見えない未来を照らすのは
慎重という名の小さな灯火

6598

SLと少女と、宇宙の心臓

09/01 23:59 更新

スーパーノヴァとは
星が寿命を迎える時に起こす“宇宙最大の爆発”
ひとつの星が砕け散り
その光と衝撃は銀河を揺らし
全てを破壊するほどのエネルギーを
宇宙に解き放つ現象のこと

──子供の頃
近くの大きな公園には「SL広場」があった
黒い蒸気機関車と
宇宙へ繋がるようなU字型の造形物
遅い時間まで一人で遊ぶ僕を
少し年上の女の子が心配して
手を引いて家まで送ってくれた
その手の中にはいつも
光るように甘い飴玉があった

大人になって
僕は「儀式」と呼ぶ旅を始めた
嫌な想い出の場所に足を運び
それを良い記憶に書き換える
過去の傷を消せば
もっと強く前に進めると思ったからだ
だがその儀式は
心のエネルギーを激しく削るものでもあった

そんな日々の傍ら
僕は宇宙センターで働いていた
不安定な恒星を観測し
地球への影響を調査する仕事
最近、風が強い
毎日嵐のように吹き荒れるその風を
誰もが異常気象と片づけていた

──ある日
最も嫌な記憶の地に立ち
いつもの儀式を終えた後
あのSL広場へと歩いていった
その瞬間、宇宙センターから電話が鳴る
「恒星が寿命を迎え、今日にもスーパーノヴァが発生する可能性がある」
僕は呟いた
「この嵐は……恒星から放たれた粒子の嵐
宇宙風が地球に届いていたのか」
スマホがけたたましく鳴り響き
地上の電子機器は狂い始めた
地球を破壊する光が迫っていた

振り返ると──あの女の子がいた
手を取り、僕をSLへと導く
轟音とともに鉄の巨体は動き出し
煙を吐きながら夜空を駆け上がる
999のように宙を舞い
U字型の造形物へ突っ込む
視界が闇に塗りつぶされ
気付くと僕は恒星の中心に立っていた

核は黒く沈み、死にかけていた
女の子はポケットから飴玉を取り出し
次々と光の珠を核へ投げ入れる
刹那、崩れかけた心臓が脈動し
まばゆい光が爆ぜる
死にゆく星に命が吹き返った
その光景を最後に
僕の意識は闇に沈んだ

──目を開けると
SL広場の地面に大の字で横たわっていた
女の子の姿はなく
ただ夜風だけが胸を撫でていく

僕はいつの間にか
偽りの光にすがり
本当の光を見失っていたのだろう
過去の痛みは
消し去るものではなく
今を輝かせるための光に変わる

胸の奥に吹く風は
かつての嵐とは違う
それは自由の空へ連れていく風
──そして僕は歩き出す
あの日もらった飴玉の光を
未来の灯りに変えながら

6598

銀河鉄道と白い靴と、揺れる鼓動

09/01 02:50 更新

朝日が昇る
顔にあたる光の中で
ふと胸の奥の痛みに触れる

白い靴で踏み出した道
あの日の僕は
ただ勢いのままに走っていた
未来を描くよりも
その瞬間を生き抜くことで精一杯だった

──けれど今なら言える
先にある夢を描いて進むことの大切さを

長く険しい銀河鉄道の話を聞かせてほしい
その物語に心が揺れた時
悲しみさえ詩へと染み込んでいく

時代に合わせて呼吸するつもりはない
明日を求める誰かが揺れるように
僕は傷をリズムに変えて手放す

影に光が差し込む
揺れる鼓動が
眠りの中の夢を呼び覚まし
月夜に照らされた時
現実の景色に変わっていくと信じている

──だから僕は
歩き続ける
未完成の物語を
自由の風にのせて

置いてきた言葉が
夜風に混ざり
まだ見ぬ誰かの呼吸に触れていく

6598

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