12月の終わり。
1月へと手渡す前夜、
僕はひとり、ある駅の広場に立っていた。
何を思ったのか、
終電間際の、風の強い夜。
時計の針が、心を削る音にしか聞こえなくなっていた。
擦り切れた心と、
もう自分じゃないような身体を引きずって、
ただそこに、立っていた。
無言のまま、
誰とも目を合わさず、
流れていく人の波の中で、
僕は、自分の中にある何かを解き放った。
誰にも見えない場所で、
音もなく、でも確かに、
心の奥が揺れていた。
自分にしか聞こえないリズムで
僕は、静かに叫んでいたのかもしれない。
風が髪を乱し、
夜が肩を押す。
気づけば、
心の中にあった迷いが消えていた。
自由に目を背けて生きてきた自分から、
ようやく一歩、踏み出した。
電車にギリギリで滑り込んだ。
何も言わずに、ただ座っていた。
その夜は、特別なことなんてなかったけれど——
次の朝、
早朝のホームに立つ僕の視界に、
少しだけ光が差していた。
見慣れた景色が、ほんのすこし、やさしくなっていた。
始まりはいつも、独りぼっちだ。
“最終駅ソリチュード”で置き忘れたものを取り戻した僕は、
今、
“フリーダム”という名の空のかなたで、
深く呼吸をしている。
